病院外心肺停止の発生場所とAEDの設置場所からAEDの適正配置を考える
緒言
病院外心肺停止(Out-of-Hospital Cardiac Arrest:OHCA)の救命にはバイスタンダー(その場に居合わせた人)による早期の心肺蘇生が有効であり、2004年7月からバイスタンダーによる自動体外式除細動器(Automated External Defibrillator: AED)の使用が可能となったが(バイスタンダーがAEDを使用する行為をPublic Access Defibrillation: PADという)、2014年度中のPAD実施率は1.3%に留まっている。PAD実施率が低い理由として、OHCAの多くはAEDがない住宅で発生していること、既存のAEDは夜間・休日に使用できないことなどが指摘されている。これらの問題に対し、AEDへのアクセスを改善するため、24時間使用可能で場所の認知度が高いコンビニエンスストアにAEDを設置する自治体が増えているが、適正な配置といえるかどうかは不明である。
目的
OHCAの発生場所、AEDの設置場所をデジタルマップ上にポイントデータ化し、コンビニエンスストアにAEDを設置することでどの程度バイスタンダーのAEDへのアクセスを改善し得るのかを地理情報システムを用いて検証すること。
方法
本研究は埼玉県三郷市の既存データを用いた横断研究である。対象症例は2013年1月1日0時00分から2015年12月31日23時59分までの間に三郷市消防本部へ通報があり、救急隊によって医療機関へ搬送された393件。設置された各AEDを中心に、3分で往復可能な距離とされる半径150mの円形範囲(至適範囲)を設定し至適範囲内で発生したOHCAの件数と割合を算出し、コンビニエンスストアにAEDが設置されている場合と設置されていない場合で、発生場所ごとに時間帯別、曜日別に比較行う。
研究実施者
1. 市川 政雄(筑波大学医学医療系)
2. 橋本 幸一(筑波大学医学医療系)
3. 藤江 敬子(筑波大学医学医療系)
4. 堀 愛 (筑波大学医学医療系)
5. 高山 祐輔(筑波大学大学院人間総合科学研究科)
問い合わせ先
筑波大学大学院人間総合科学研究科
国際社会医学研究室
高山 祐輔
E-mail:takayama54200@gmail.com
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